無気力

話をした。

最初はTwitterの内容を聞かれただけだった。別に病んでた訳でもない。内容を覚えてる訳でもないが、目が覚めて真っ先にLINEの友達リストを見たのを覚えてる。誰なら、誰なら私が今掛けても怒らないだろうか。困らないだろうか。それを薬の入った脳で考えるので必死だったのだ。真っ先にみゆさんが浮かんだ。でも、多分掛けても「巫山戯んな、朝っぱらから掛けてくんな!」と一蹴されて終わる。
そんなこと朝から言われてメンタルが持ちそうもなかった。
結局菫ちゃんに掛けた。出ないかもと思った。出た。何を言ったのか覚えていない。ただ、黙って話を聞いてくれて、一言、一言だけ「それでも兄さんはあの人が好きなの?」と聞かれた。何も言えなかった、遂に愛想を尽かされたかと思った。大体の物事が私のこの気持ちのせいで上手くいかなくなる。
もう何も考えられなくなって、薬を飲んだ筈なのに目が覚める。だから、ゲームをした。菫ちゃんと。でも気がついたら寝ていたらしい。起きたらもう21時を回っていた。LINEには「兄さん切るね?寝れたならゆっくり寝てね?」と来ていて少しだけ心が軽くなった。
そして餃子を食べた。4つ食べてやめた。Twitterに、思ったことだけを書いて、流れてきた渚くんの動画に癒されて、それも書いて、そしたら2人からLINEが来た。黄色いのと赤色の。黄色い子は何か話したいことない?って聞くから何も無いよって答えた。何も無かった。赤いのは何かあったの?って聞くから答えた。そしたら友達だと思われてるの?って言われた。そうなのかなとも思えてきた。でも友達でも友達じゃなくてもどうでもよかった。友達でも友達じゃなくても相手の行動も私の行動も変わらない。関係の価値観に誤解があるかもしれないのに関係の名前があったところで無意味だ。
「片方だけから聞いても意味無いから」そう言われた。話を聞きに行くよう勧められた。聞きに行っても無駄だと思った。実際もう、縁切った方がいいんじゃないか、脳でそう少しはわかってた。だってこれこそ本人には伏せていたがみゆさんからもチョロちゃんからも、そして菫ちゃんからも勧められてはいた。「相性悪いと思うよ」「辞めときなよ」
聞きに行って何が変わるのだろうか。
私に限らずどの人間もだ、とみゆさんは言っていた。ならそれも伝えるべきだろうか「分かってるんだけどねぇ」そう言われて終わる気がした。本当はそうじゃないのかもしれない。別のことを言って来るのかもしれない。でも何を言ったら傷つけてしまうのかわからない。否、傷付けることも傷付けられることも本来私はそんなに危惧していない。
傷付けたら、謝ればいいし、喧嘩したらいい。傷つけられたら、怒ればいいし、話し合えばいい。それでもそれが出来ないのは傷付けた場合に相手がこちらに言葉で何かを言ってくることがないからだろう。不満なら、疑問なら、聞けばいいのに。そう思ってしまう。少なくとも俺はそれがわかるまで両親にぶん殴られ続けたのでどうしようもなくそう思う。
だって、私は画面から出てきて頬をひっぱたくことは出来ないのだから。
なのに彼女は何も言わずに距離をとる、何も言わずに消えてゆく。ああ、ああ、そんなに私と話がしたくないのか。理解してもらえると思えないのか。それとも理解してもらう必要もないのか。理解してもらいたいとも思われないのか。
きっと私に興味がなくて何も興味が無いんじゃないかとさえ思えた。
でもそれを聞くのも怖かった。私はこんなにも臆病だっただろうか。関係なんて壊れても直せばいいと思ってた。そうやって何度も直してきた。
話を戻す、赤色は結局彼女のところに話をだまって持って行って逃げ出した。
私は、どうしたらいいというのだ、頼まれてもいないお節介を焼かれて。
赤色は愛が分からないから、と言っていた。そうか、だからなのだろう。私は仕方ないね、とだけ返した。きっと赤色も善意で何かを言ってくれているのはわかっていた。でも余計なお世話だった。私は愛されているのだろ。ほらこんなにも、心配してくれる人がいる。上辺だけでも、若しかしたらそれは自分が善行をしているという自身への自尊心だけの為でも。それでもいい。こんなにも愛されている、なのに。それでも私は愛されたかった。
きっと彼女にも赤色にも父にも私の愛がわかる日は来ない。どうせ分からない。分からなくていい、分かってなんかたまるものか、泣きながら私はそう思った。
倉庫で一人ぼっちだった時の寂しさも。殴られるのが怖くて、何も無いですって周りの人間に笑った惨めさも、無条件に誰かに何かをしてあげたいと思った愛情も分からない。どうせ分からない。分からないならもう全部いいから。
例えば私が意図して傷つけた回数があったとして、私は何回意図しないで傷つけられただろう。不満を募らせただろう。それを許したのは愛情。それでも、彼女は私の一喜一憂、つまりは言動からくる感情が許せないというのならどうしたものか。私が前世の記憶を思い出すくらいの可能性で、あの人に対する感情が今日忽然と消えたとして、私はあの人の行動言動に何らかの感情を抱かないかと聞かれればNOだろう。ならばもう、友人でいることすら叶わない。彼女は私にそれほど恨みがあったのか、それともこれもまた意図せず発言して傷つけたのか、もうそれもどうでもいいと思うようになった。きっと彼女は物事を平面的にしか見えないのだ。私が横からそれを見たとして彼女は上からそれを見る。そして、それを私が見ているんだな、と思って立ち去る。私がなぜそれを見ているのか、それはなんなのか、気にもとめないのだろう。私に限らずそうなのかもしれない。
彼女はそれを否定するだろう、でも私はそうだと思う。周りがそれを否定するなら、気遣いか、それとも私だけに対してなのか。彼女にとって私はわざわざ嫌がらせをするような対象でさえ無かったように思うのできっと全員なんだと私は思っている。
まず愛される事を諦めた。次に理解する事される事を諦めた。次は彼女の行動に感情を抱くことを諦めなければならない
それは、嫌われてるという言葉以外に形容方法がないように思えた。
これなら面と向かって死ね、と叫ばれた方がマシだったかもしれない。
なんで死ねって言ったの、と聞ける分だけ。

若しかしたらこの臆病な部分は鏡月の時からなのかもしれない。彼奴は本音を言うと過呼吸起こしたから。もうそれなら本音なんて聞かなくていいやってね。そういう所はそっくりだったのか。…こんなんで、どうやって生活なんてするのやら。今日は眠れなかった。昨日寝すぎたせいだろう。だからまた明日寝たらいい。取り敢えずやることがあるのでこれで終わる。