2017.10.5

感情なんて。

感情なんてきっと数えられるより沢山あるのだろう。それは香りのように曖昧に、しかし確立して、沢山あるのだろう。


昔から父さんはいらちで待つことが出来ず、揚げ足取りで、計画通りに一寸の狂いもなく進まないと気が済まない人だった。人の感情は二の次で上手くいくかが優先なのだ。そして何より一般論を気にする。
だけと計画はきちんと立てられて、言うことは正論で、極論で、結果の為になら自己の感情も無視する、それ故に人にだってそれを強いるのだ。

私はそんな父が大嫌いだった

父には分からない、私が父に言われた言葉でどれほど傷ついたか、まるで毎日幼稚園に通って先生に教えてもらいながら初めて親に手紙を書いたのにそれを「汚い字」だと否定されたかのような、絶望感を理解出来るだろうか。

きっと父にとっては些細な言葉に過ぎなかったのにも関わらず、私は凄く傷ついた。でも、私は父がそんなつもりはなかったのを知っているし、更に私の気持ちが分からないのも知っている。
其れ位を理解できるくらいには冷静に、それでもショックを受ける程には脆い。
冷たい氷が燃えるような相反する物のぶつかりが心の中にある気がした。

一度きりじゃない、何度も何度も、そうやって傷ついてきたのに今更許せ、なんて無理な話なのである。

父の言葉は何時までも私を縛っている。
其れはきっと父のせいではなく、私が気にしてしまうせいなのだけれど、それでもその時の傷は消えないし、今だってそうであり続ける父を私は許せないのだ。

父の顔を見れば何もなくてもイライラして酷い時は急に怒り出す。
声を聞くだけで耳を塞ぎたくなる。
発狂してしまえばあの声も聞かなくて済むのになんて、そんな事したらそれよりも大きな声でまた怒鳴られるだけな事には気がついているし、それに気づけるくらい正常な内はきっとそんな事も出来ないのだろう。